あばばばば
ふと思い立って、青空文庫の中の芥川龍之介の作品を眺めていたのですが、何とも奇妙な題名が目に留まりました。
「あばばばば」
なにこれ?
題名の間違い?
ちょwwwおまwww
芥川龍之介と言えば、「羅生門」や「鼻」などの代表作を知っている程度なので、なんともおかしな気持ちになりました。ネットのスラングに毒されていて、そのイメージが浮かんでしまったからです。あちゃー。
Amazonの本の説明には、
いわゆる<安吉もの>の作品であるが、同時代評は不要であった。
と書いてあり、やや不安を覚えたのですが、コメディものかなと思ったりもして、読み進めることにしました。後で知ったのですが、私小説的なもので、いくつか作品かあるそうです。無知をさらけだしていますが。
さて、題名の奇妙さに反して、私小説的と言われるだけあって、大正時代当時の風俗がよく感じられました。最近、私が読んだ本は、視覚や聴覚(登場人物のセリフなど)に訴えてくるもの多かったのですが、この作品では、味覚や嗅覚にも刺激を受けました。
いくつかココアの品名が出てきて、バンホーテンなら知っていると味覚を刺激され、燻製のニシンは知らないのですが、生臭いんだろうなと嗅覚を刺激されました。
そして、この作品のなかで最も驚いたのが、実は軽い恋愛ものだったことです。主人公の安吉は失恋してしまうのですが、最後のところで、何故こんな題名なのかが明らかになります。芥川龍之介のすごさに改めて気づいたのでした。
あばばばばば
次に挙げてある青空文庫(Kindle版)の本は、旧仮名遣いですが、読みやすかったです。短編ですから、すぐに読み終わりますし。