芥川龍之介 「芋粥」
芋粥が好きな人の昔話だったっけ?題名は知っていても、どんなお話だったのか、思い出せなかったので、ささっと読んでみました。
感想
食いしん坊な私なので、まず芋粥を食べてみたくてたまらなくなりました。山芋のねっとりとした食感と、甘葛がどんなものかはわからないのですが、昔の甘味料なのでほんのりとした甘さが相まった、あっさりめで、どれだけでも食べられそうなお粥ですね。ネットにも再現してみた話が、ちらほらとありますが、山芋の細切れなのか、すりおろしているのか、はたまたゴロゴロしているのか、様々です。「飲む」という表現があるので、具は小さめのような気はします。
しかし、藤原氏主宰「芋粥を食す会」は、すごいです。まず、丸太のような山芋が数千本も集められたり、かまどの煙で広い庭が煙でよく見えなくなったりと、とんでもない規模です。
願望がかなった時より、ささやかな願望を抱いている時のほうが、実は幸せだったという気持ちは分かる気がします。美味しいものをいっぱい食べたいとか、お金持ちになりたいとか、モテたいとか、実際に叶ってしまうと、この五位と同じような気持ちになるのでしょうね。とは言っても、叶う前に願望を捨て去ることは出来そうにないですけれど。煩悩まみれ。
「全然」
現代における「全然」の用法、打消しの言葉や否定的な表現を用いるのが正しいとされているのですが、「芋粥」には旧来の用法で使われているのは、興味深いですね。
近頃は、先祖返りした用法も増えてきているので、すんなりと意味が通りました。
しかし、五位はこれらの揶揄に対して、全然無感覚であった。
POD(プリント・オン・デマンド)
少々横道にそれるのですが、「芋粥」がPOD(プリント・オン・デマンド)で購入できるのは知りませんでした。PODは、注文してから製本されるので在庫切れが無いサービスらしいですが、洋書だけだと思ってました。数は少ないですが、著作権の切れた作品や、本屋さんでは売れなさそうな作品があるようです。
私としては、無料で読める青空文庫の電子書籍をお勧めしますが、紙の本が好きな方にはいい有料サービスかもしれません。