midqqのブログ

マンガとSF、時々テクノロジー。その他、雑多に書き綴ります。

半世紀経っても色褪せないSF ~ アーサー C クラーク 「2001年宇宙の旅〔決定版〕」(小説版)

 「ブログの説明」に『SF』と言う単語を挙げておきながら、これまで、SF小説の感想エントリが皆無だったことを白状します。当ブログの迷走ぶりが伺えます(苦笑)。

さて、手ごろなSF小説を読もうと思い立ちました。ちょっと言い訳しますと、少し前に、いろんな意味でハードなSF小説を読破したものの、うまく咀嚼出来ておらず、口直しのSFが必要だったということもあります。そこで、過去に読んだ可能性はあるものの全く記憶が残っていない、読んでおくべきSF小説、「2001年宇宙の旅」を読む事にしました。

2001年宇宙の旅〔決定版〕

2001年宇宙の旅〔決定版〕

 

 感想

まず、読みやすかったです。冒頭でも書きましたが、一つ前に読んだSFがハードだったこともあります。(ただ、その作品はハードだったものの、傑作でした。またの機会にご紹介します。)

小説「2001年宇宙の旅」が出版されたのが1968年ですから、ほぼ50年前になります。半世紀!も経っていますが、古臭い感じはしません。敢えて挙げるとすれば、今は無きソ連が出てくることくらいでしょうか。

後のSFに様々な影響を与えた偉大なる作品で、映画にもなっています。映画製作と同時進行で書かれているので、よくある「映画の原作」や「映画の小説版」とは異なった、珍しい経緯のある作品です。

宇宙開発

現実世界を振り返ってみると、人類が月に足跡を残す前に書かれた小説ですが、それから宇宙開発は当時想像されているより停滞しているように思えます。アポロ計画以降、月への有人飛行は途絶えたままですし、火星への有人飛行の開発も進められているようですが、あと何十年かかるか分からない状況です。言わずもがな、地球外知的生命体との邂逅も、いつになることやら。

AI

AIについても、ようやく囲碁勝負で人類を超えた程度で、想像されているより進んではいません。ただ、こちらは宇宙開発と違い、加速度的に発達するはずですから、あと50年も経たずにシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えるかもしれません。

最も印象的だった場面

最後に、この小説で一番印象に残った場面を書いておきます。反乱を起こしたAI、HALを停止に追い込んだ後、地球との通信も途絶え、他の乗組員が全員死亡していることが確認された場面です。こんな孤独な場面に遭遇したら、私なら正気でいられなくなること、請け合いです。しばらくして地球との通信が回復しますが、もし回復しないままだったらと想像すると、ぞっとしました。

2001年宇宙の旅〔決定版〕