名将は三度死す! ~ 吉川英治 「三国志」
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と言う訳で、吉川英治氏著の三国志を読破しました。小説の三国志を始まりから終わりまで読んだのは、これが初めてでした。
コンピュータゲームの三国志や、NHKの人形劇三国志(相当古いですね。再放送だったけれど)などから、有名エピソードをつまみ食いして、おおよそのストーリーは把握していましたので、すんなりと話に入っていけました。
吉川英治氏と三国志
吉川英治氏と言えば、昭和の前半に大活躍された、歴史小説や時代小説の大家です。他にも、「宮本武蔵」や「新書太閤記」、「新・平家物語」などなど、名著がたくさんあります。
そして、この「三国志」ですが、三国志演義(歴史をもとにフィクションを交えた小説)を下敷きに、吉川英治流に大胆なアレンジを施した作品だそうです。
驚いたこと
読破後、ブログのエントリを書くために調べていて、少々驚いたことがありました。それは、新聞連載小説として1939年に連載が開始されていますが、なんと日中戦争(支那事変)勃発の1937年より後なんです。また、なんとなんと!連載中に太平洋戦争(1941年)が勃発しているんです。ちなみに、連載終了は、太平洋戦争終結前の1943年です。
(政治体制は違ってますが)戦争中の相手国を舞台にした小説にもかかわらず、見下したりした表現が一切なく、人肉食のエピソードでは単純な野蛮行為でないと背景を解説さえしているのです。正直、とても素晴らしいことだと思いました。
さてさて、感想に入っていきます。
これまで自分が三国志に持っていた印象と違っているところを主に書いていこうと思います。かなりざっくりですけれど。
序盤。桃園の誓い
劉備が、関羽や張飛と出会うところなど、丁寧に書かれていて、これまでの三国志に持っていたイメージと大分違いました。ムシロ織りの劉備さん、母のために命がけで買ったお茶を捨てられるところとか、以前に助けた女性と再会していつのまにか相思相愛になっている話とか、あれ?三国志って、戦記物だったよな?と。
中盤その1。劉備、負けすぎ!曹操、波ありすぎ!
劉備。負けまくりですね。根拠地を得ても、しばらくして負けて流浪の身になる。うわー、これで蜀を建国できるのか?と心配になるくらい。でも、負けても死なないし、何度でも再起を図るところは、すごい。
曹操。勝つときは勝つが、負ける時も豪快だな。兵数多くても、惨敗するのね。
後漢帝室は、悲しいな。力なき皇帝と、その百官。亡国は悲惨。
袁紹、意外と戦略的に戦ったのね。相手が悪かった。
中盤その2。蜀取り
蜀取りは、なし崩し的すぎる。旧蜀には援軍と言っておきながら、いつのまにか策動して乗っ取る。戦乱の時代だから仕方がないとはいえ、旧蜀を思うとやりきれない。
黄忠頑張りすぎ。馬超いつのまに死んだ? 関羽、無念。張飛は酒におぼれ、因果応報。趙雲は超優秀。魏延、ハブられ。
終盤。孔明・・・
北伐時代の蜀って、こんなメンツで頑張ってたんだ。ゲームの三国志的に観ると、きっついな。孔明さんが部下を育てる天才だったら、三国統一が叶ったかもだけれども、それは彼に望みすぎですね。
長くなりすぎるので、この辺にしておきます。
それにしても、我が日本は卑弥呼の時代なんですよね。国の在り方、人物、戦争の規模などなどフィクションが混じっているとはいえ、雲泥の差です。
名将は三度死す!
おまけ。
タイトルにありますが、魏の武将、張コウ(張郃)さんは、3回も死んじゃってるそうです。ある意味、不死身!
汝南での戦い(官渡の戦い後)。袁紹陣営から曹操陣営に鞍替え直後。劉備と趙雲を追撃中、関羽、関平、周倉の300余騎に後ろから部隊を粉砕され、屠られる。(三国志6 泥魚 三)
長坂の戦い。穴に落ちた趙雲(+阿斗)に襲い掛かるも、青釭の宝剣で肩先から馬体まで切られ、血しぶき噴き出す。紅の光に目がくらんだせいとか。(三国志7 宝剣 三)
北伐。魏延の挑発に乗って谷に誘い込まれ、逃げ道を塞がれる。その後、孔明の火計により、焼死。(三国志11 木門道 二)
青空文庫
青空文庫(あおぞらぶんこ)は、著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館である。(Wikipediaより)
吉川英治氏の作品も、公開されています。私は、Kindle版で読みました。
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