midqqのブログ

マンガとSF、時々テクノロジー。その他、雑多に書き綴ります。

素直に読めなかった童話 ~ 芥川龍之介 「白」

真っ白なワンちゃんが、真っ黒になってしまうお話。

白

 

荒っぽく筋書きを描けば、「飼い犬がある出来事から住処を追われる。罪の意識にさいなまれ、自死のために各地を放浪。意図せず徳を積み重ねたため、最後に救済される。」そんな童話です。

よくできた童話なのでしょうけれど、素直に読めなかったです。

 

最近読んだ芥川の作品「河童」や「地獄変」、芥川自身に共通する、「自殺」。この「白」の主人公も、罪の意識から自死するため、各地を放浪して無茶な行動を繰り返しています。そんなテーマは、どうも暗くて潔癖過ぎて、好きになれません。

真っ黒に毛並みに変えられたことで神を呪ったり、やけっぱちの破れかぶれになってくれたほうが、人間らしく思うのです。

最後に主人公が救われたのは、ほっとした半面、救われて欲しくなかったと思ったのは、私の性格が歪んでいるからなのでしょうか。