midqqのブログ

マンガとSF、時々テクノロジー。その他、雑多に書き綴ります。

アメリカン和牛(SF短編)

お題「好きな肉」

 

***

成人男性を対象とすれば引き締まった臀部。成人女性を対象とすれば、ふくよかであるものの、つつましやかな胸部と返答するべし。

エビゾウは、問いかけに対する返答を即座に準備し終えた。

 

「蟻がいるよ!いっぱいいっぱいいるよ!」

「わかったから。いっぱいいるのはわかったから、外に出ないの!」

ランチの時間帯は、ものすごく賑やかだ。ここは、”エンジ”が10人ほどいる小規模な施設だ。”ホイクシ”は3人、いや我々ロボットを含めれば5人というべきか。二人の”エンジ”を一人の”ホイクシ”が面倒を見る計算だ。これはかなりの重労働に属するだろう。

「えびじょーは、おにくたべないの?」

「あー。えびぞーは、もうお腹一杯なのよ。」と、横にいた人間の”ホイクシ”が割り込んだ。

愛羅(てぃあら)は、くりくりした眼をランチプレートの人参に向けながら、うんうんとうなずいた。先ほど、エビゾウに対して、問いかけてきたのは彼女だった。

「えびじょー、すきなおにくは?」

ここまでのやり取りを踏まえ、先ほどの返答を訂正するよう、クラウドブレインからメッセージが届いた。アメリカン和牛ビーフフレーバーの人造たんぱく大豆ミートがベストだと。