幽体離脱は、脳の仕業かも? ~ 池谷裕二 「脳には妙なクセがある」
あなたは、金縛りにあったことがありますか?
私はあります。オカルトのようなものを感じなくもないですが、睡眠時、脳は起きていて体は寝ている、そんな状態の時に発生する生理現象?みたいなものと受け取っています。
さて、今回ご紹介する本、「金縛り」の話は出てきませんが、幽体離脱の原因かもしれない脳の働きの話があります。
右側の頭頂葉の「角回」と呼ばれる部位を刺激すると、被験者の意識は2メートルほど舞い上がり、天井付近から「ベッドに寝ている自分」が部分的に見えるというのです。(24章 脳は妙にオカルトする より)
私の(起床時の)意識は、目の後ろの上のほうに感じます。また、心臓がドキドキしたときは、心臓のあたりに意識が下がってくるような感じを受けたりもします。これに似たような話で、脳の調子が悪くて、意識がある位置の認識がズレてしまったら、幽体離脱のようになっても可笑しくない気がします。ちなみに、意識が前方にズレる研究の話もこの本に出てきます。そう、背後にゾクゾクする存在を感じるそうです。その存在は何かのオチには、ちょっと笑いましたけれど。
他にも、脳に関する興味深い事実がてんこ盛りに出てきます。哲学や心の在り方に通じる事柄も多く、いろいろと考えさせられました。世界の(難しい)研究論文を下敷きにしていますが、エッセー風でものすごく読みやすかったです。
哲学や道徳、宗教の分野が、脳科学と合流するかもしれない、そんな未来の可能性も感じられる、素晴らしい科学本です。マジ、おススメ!
関連する過去エントリはこちら。
爬虫類 vs (腐乱&骸骨)+虫・・・ ~ オーバーロード 6巻 コミック版
コミック版オーバーロード、リザードマン編、そのメイン回です。
リザードマンたちが、ゾンビ・スケルトンなどのアンデッドたちと多対多の死闘を繰り広げます。こう書くと、雑魚モンスターたちの群衆バトル漫画なんて、誰得・・・
オーバーロード(6)<オーバーロード> (角川コミックス・エース)
- 作者: 深山フギン
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2016/12/26
- メディア: Kindle版
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だが、しかし!
意外や意外。恋愛と友情、信頼、団結。そして試練。少年漫画の王道をなぞる要素に溢れた熱いお話なんです。ちょっと登場人物が変わってますけれど、意外といけますよ。主役が、魔王とか勇者の俺tueee、無能力者や弱者の俺yoeeeとは違い、さすがは異色ファンタジーのオーバーロードってところです。
そして、熱い物語を読んだ後に待ち受ける、メイド集団プレアデスたちによる巻末のスペシャルエピソードには癒されること請け合いです。
オーバーロード(6)<オーバーロード> (角川コミックス・エース)
過去のエントリはこちら。
(ネタバレあり)パリヤさんの顔芸に、ついついニヤケ顔になっちゃいます ~ 森薫 「乙嫁語り 9巻」
(ネタバレあり。ご注意)
コミュ障だけど張り切り屋さんのパリヤさん。乙嫁になれるかどうか、ハラハラドキドキの回です。
実家が襲撃で破壊されたため、エイホン家に父母と居候。そのことが、「人間万事塞翁が馬」と言いますか、「災い転じて福となす」と言いますか、お友達も沢山でき、お相手ウマルとの婚約話も進展しました。そして、ついに乙嫁の仲間入り。おめでとー。
年の差夫婦アミルとカルルク、北方のロシア国境に追いやられたハルガル家の若者3人組、英国人スミスのお話もあります。そうそう、孤独なタラスや、漁村のW双子、アニスとシーリーンの百合組も少しだけ出ます。
感想
コミュ障だけど張り切り屋さんのパリヤさん。彼女の顔芸に、ついついニヤケ顔で読み進める自分がいます。お相手ウマルとのやりとりに、ハラハラドキドキ、そしてほのぼのしつつ、若いっていいねーと。
結婚相手は親が決めるだとか、若者のデートはご法度とか、布支度(婚礼品)がそろわないと結婚できないとか、現代日本と比べると息詰まる暮らしなのかと思いきや、登場人物たちは生き生きとしています。そんな彼らの暮らしぶりに、正直、羨ましいところもありますね。
ぜひ、ご自身で読んでみてください。(1巻からどうぞ)
森薫さん作品の過去エントリはこちら
議会質問を作る都職員の気持ちが、少しは分かるかも? ~ 「地方自治体に営業に行こう!!」
小池都知事が、「都職員が議会質問を作る慣習を禁止」と、ニュースになっています。
たまたま読んでいた本「地方自治体に営業に行こう!!」のおかげで、都職員の気持ちが少しは分かりました。
この本の5章に、地方自治体の予算について、分かりやすく説明がされています。議会は、予算要望を提出し、地方自治体からの予算案を議決する役割があります。地方自治体は、予算がないと仕事が出来ませんから、予算取りに必死になります。少しでも予算案を通しやすくするため、こういった慣行が出来たのでしょうね。
ただ、質問される側が質問も作ったら、聞かれたくない事は質問しないでしょうし、利用者(地域住民)の目線からの質問は出てきません。予算案に対する質問だと考えれば、反対意見が出づらく、もくろみ通りに予算案が通りやすくなります。
地域住民(都民)から見れば、地方自治体のお手盛り予算になっている可能性もあり、よい慣行とは言えないでしょう。止めてもらって正解だと思います。
だいぶ横道にそれました。
「地方自治体に営業に行こう!!」ですが、地方自治体にも詳しくなれるので、営業に行こうと考えていない方にもおすすめ出来ます。著者が、官公庁営業の研修などをされていることもあり、読みやすい文章です。
半世紀経っても色褪せないSF ~ アーサー C クラーク 「2001年宇宙の旅〔決定版〕」(小説版)
「ブログの説明」に『SF』と言う単語を挙げておきながら、これまで、SF小説の感想エントリが皆無だったことを白状します。当ブログの迷走ぶりが伺えます(苦笑)。
さて、手ごろなSF小説を読もうと思い立ちました。ちょっと言い訳しますと、少し前に、いろんな意味でハードなSF小説を読破したものの、うまく咀嚼出来ておらず、口直しのSFが必要だったということもあります。そこで、過去に読んだ可能性はあるものの全く記憶が残っていない、読んでおくべきSF小説、「2001年宇宙の旅」を読む事にしました。
感想
まず、読みやすかったです。冒頭でも書きましたが、一つ前に読んだSFがハードだったこともあります。(ただ、その作品はハードだったものの、傑作でした。またの機会にご紹介します。)
小説「2001年宇宙の旅」が出版されたのが1968年ですから、ほぼ50年前になります。半世紀!も経っていますが、古臭い感じはしません。敢えて挙げるとすれば、今は無きソ連が出てくることくらいでしょうか。
後のSFに様々な影響を与えた偉大なる作品で、映画にもなっています。映画製作と同時進行で書かれているので、よくある「映画の原作」や「映画の小説版」とは異なった、珍しい経緯のある作品です。
宇宙開発
現実世界を振り返ってみると、人類が月に足跡を残す前に書かれた小説ですが、それから宇宙開発は当時想像されているより停滞しているように思えます。アポロ計画以降、月への有人飛行は途絶えたままですし、火星への有人飛行の開発も進められているようですが、あと何十年かかるか分からない状況です。言わずもがな、地球外知的生命体との邂逅も、いつになることやら。
AI
AIについても、ようやく囲碁勝負で人類を超えた程度で、想像されているより進んではいません。ただ、こちらは宇宙開発と違い、加速度的に発達するはずですから、あと50年も経たずにシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えるかもしれません。
最も印象的だった場面
最後に、この小説で一番印象に残った場面を書いておきます。反乱を起こしたAI、HALを停止に追い込んだ後、地球との通信も途絶え、他の乗組員が全員死亡していることが確認された場面です。こんな孤独な場面に遭遇したら、私なら正気でいられなくなること、請け合いです。しばらくして地球との通信が回復しますが、もし回復しないままだったらと想像すると、ぞっとしました。
名場面であったろう直前で途切れた物語 ~ 芥川龍之介 「邪宗門」
未完・・・
「地獄変」と同じ登場人物が出てくる作品で、ちょい役だった堀川の若殿が主役です。時間軸は、「地獄変」から10年経つか経たないか、それくらいでしょうか。
この小説を自己流に一言で表すと『異教を広める悪役修行者と、平安貴族サイドとのバトル物』になります。高位の仏教僧が、悪役修行者との法力対決に敗れ、いざ主役の若殿登場と言う場面で途切れ、未完になっています。
物語としては、これから!と思われる場面で続きが読めません。芥川龍之介の中期の作品なので、死去による未完と言うより、なんらか理由があって、続きが書かれていないのだと思います。
「地獄変」に描かれる人間の業の壮絶さといったものは感じられなくて、娯楽性の高い大衆小説のようです。未完のままでよかったのか、完成していたら芥川龍之介の代表作になっていたのか、解けない謎が残る作品でした。
「地獄変」の感想はこちら。
ゾクゾクするほど綺麗!ドローンに近未来を感じた ~ Intel's 500 Drone Light Show
なんやこれ、めっちゃ綺麗!
しかも500機のドローンやて!?
Intel's 500 Drone Light Show | Intel
SFチックな光景ですが、現実の光景なんです。動画を見て、正直ゾクゾクしましたよ。ショー自体も綺麗ですごいんですが、ドローンたちが飛び立つところと、1か所に集まりつつ降りてくるところに、なぜだかミツバチとか小鳥の集団の可愛らしさを感じちゃいました。
実際に見てみたい~!!
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これ、1機ごとの自動制御でしょう。それぞれが衝突せずに飛んでいるだけでもすごいのに、幻想的な立体イルミネーションが実現しています。ドローンのテクノロジーは、こんなにも進歩しているんですね。空を飛ぶラジコンのオモチャみたいなものとの古臭い意識を改めざるを得ません。
ドローンによるイルミネーションは、将来的に、モノスゴイ事になるんじゃないでしょうか。そのうち、火薬を使った花火は、ほとんど無くなっちゃうかも。500機でこの美しさなら、もっと小型化して数が100倍の5万機くらいの光景を想像すると、花火なんか目じゃない幻想的な光景が実現しそう。野外プラネタリウムなんかも出来そうだし、末恐ろしいテクノロジーだ。
私、テクノロジーとかSF好きなもんで、そっち方面でもゾクゾクしましたね。
これを見て強く思ったこと。
日本も、しょうもないドローン飛行禁止ばっかりしていると、世界に置いてけぼりをくらいそう。こういった小型機器は日本が得意そうなのに、もったいない・・・
なんて言っておらず、何か取り組めないかな、自分。
おまけ。
米国のディズニーワールドで、Starbright Holidays Aerial Drone show というショーが開催されたようです。そのうち、日本のディズニーランドでもやるのかな。でも、規制があるし、どうだろうね。
Starbright Holidays Aerial Drone show at Disney Springs
Experience Starbright Holidays – An Intel Collaboration | Intel